今年は大掃除しないことに決めたし、議会便りも年内発行は諦めたし…。
本当は他にもしなければならない事があるけれど、昨日(3日)は午前中、体調が悪く外出できる状態ではなかったので…(以上、言い訳

)。
読みかけで、「どうしても今年中には読んでしまいたい!」という本

があったので…30日は午前中、一気に読んでしまいました。
8月に長崎で開催された原水爆禁止世界大会に行ったとき買った

「被爆者医療から見た原発事故」です。
著者

は、広島、長崎の被爆者2000人を診察してきた神戸の民医連のお医者さん郷地秀夫氏(神戸健康共和会・東神戸診療所所長。兵庫県保険医協会副理事長)。
原爆と原発事故と比較してわかりやすく書かれていました。
まず、原発と原爆のエネルギーと核燃料、放射性物質。
福島原発事故の被曝は原爆に比べてたいしたことがないと思われているが、原子炉建屋内の核燃料、放射性物質の量は、広島原爆の1万倍以上だとか。
そして、初期放射線被曝と残留放射線被曝。
核分裂を起こした瞬間(1分以内)に出るのが初期放射線で、α線、β線、γ線と中性子線の4種類。
α線は数センチ、β線は数メートルしか飛ばないけど、γ線と中性子線は数キロ、原爆でも3キロ前後飛んだそうで、原爆ではγ線と中性子線だけを測定し被曝線量として評価されてきたそうです。
1分後に放出されるのは残留放射線で、α線、β線、γ線の3種類。
中性子線は核分裂で出るので、残留放射線には無いそうです。
でも、残留放射線には誘導放射線というのがあって、中性子線にあたった物質が放射性物質に変わるという性質があり、そこから出るのが誘導放射線だとか。
広島、長崎では、原爆によって、草木も、町のすべてが…人間の体さえもが(ナトリウムがナトリウム24へ、リンがリン32へ…)放射性物質へと変えられてしまったそうです…恐ろしいし、悲しい…。
当時、残量放射線はほとんど影響がないと考えられていたため、原爆が投下された時、爆心地から何キロにいたか、どんな状況であったか等が被曝線量の全てという評価がされ、また、放射線の測定についても、爆弾投下直後に測定されておらず、台風の後、しかも数カ所のみで十分ではありませんでした。
こうして出来たのが、原爆線量の評価基準です。
更に、驚くことに、放射線がどれだけ人体に影響を及ぼすか研究をしたABCC(原爆障害調査委員会)は、爆心地から3キロメートル以遠にいた遠距離被爆者を被曝線量ゼロとし、2,5キロメートル以内にいた被曝者と比較して、病気や症状の発生率の差を求めて放射線の影響を調べ、そのデータを使ってICRP(国際放射線防護委員会)の放射線管理基準を作ったそうです。
だから、実際には被爆者同士を比較してるため、当然、放射線の影響は低く見積もられているというわけで…怖い

そして、内部被曝と外部被曝。
α線、β線はあまり飛ばないけれど、線量が少なくても生物学的に大きな影響を与えるそうで、α線はγ線の20倍だとか。
ところが、体内のヨウ素131、セシウム173、ストロンチウム90等が出すα線、β線は飛ぶ距離が短いためにホールボディーカウンターでは測定されず、体表面上のβ線しか測定されない…。
骨に集中しやすいストロンチウムのβ線も難しい…。
α線、β線の内部被曝は尿検査で検査するしかないそうです。
などなど(もっといろいろ書いてました)…読んでいて恐ろしいと思いました。
さて、原爆投下後一ヶ月目に亡くなった被爆者の臓器標本が60数年たってもプルトニウムのα線を出し続けているのに、国は、岡山地裁で争われた原爆症認定訴訟で「内部被曝の影響は無視し得るというのが確立した科学的知見」と…

国は、10年後、20年後、30年後に発症した福島原発事故の被曝者に対し、同じような事を言うのだろうか…

「原発事故とは無縁」と…

そう言わせないためにも、広島、長崎の被爆者援護の運動とも連帯してがんばらなくては

と思いました。
ぜひ、みなさんも読んで下さい


「被爆者医療から見た原発事故」(かもがわ出版)1000円+税