18、19日と二日間、東京で開かれた第7回地方議会議員研修会「住民の期待にこたえる地域づくりの今を考える」に参加しました。
主催はNPO法人建設政策研究所です。
北海道から沖縄まで、54県市町区の議員104名が参加しました。

18日の記念講演は「府中市が進める公共施設(建築物等)及びインフラのマネジメントについて。
府中市では、平成22年度に「府中市公共施設マネジメント白書」を、平成24年度に「府中市インフラマネジメント白書」をつくったそうです。
まず、府中市の行政管理部建築施設課長さんから「公共施設マネジメントの取組」についてお話がありました。
施設の利用状況、コスト状況、更新コストなど、市内の各施設に関する調査を行い、それを「見える化」し、市民に公表し、今後、施設の総量を抑制・圧縮する、民間委託するなどコスト削減を予定しているとのお話でした。
次に都市整備部管理課長さんから「府中市がすすめるインフラマネジメントについて」についてお話がありました。
将来経費の予測は下水道を含めて80.7億円で、今後の「管理水準の見直し」では、道路や橋や公園、標識、歩道など廃止まで検討されていました。
ただ、白書についての市民説明はこれから、とのことでした。
どの自治体でも、これまで公共工事で増やしてきた施設の維持管理、更新について厳しいようです。
原発依存のハコモノ行政をつづけてきた敦賀市はなおのこと…。
敦賀市でも、削減、廃止は別にしても「見える化」は必要かな?と思いました。

実践報告は「自然エネルギーによる地域経済の振興と雇用の創出」でした。
(株)自然エネルギー研究センターの代表取締役センター長の大友詔雄さん。

「大事なことは仕事があること。自然エネルギーとその関連の生産工場を地域に設立する」とのこと。
太陽エネルギー(太陽光、太陽熱)、水力エネルギー、地熱エネルギー、バイオマスエネルギー、風力エネルギー、リサイクルエネルギーなど、実験段階のもの、実用化されているものなどたくさん紹介されました。
ドイツやオーストリアなど、各国で再生可能エネルギーをすすめ、雇用も増えている、エネルギーの地産地消の話などなど…盛りだくさんの内容でした。
一日目終了後、1人で、東京足立区のハートアイランド(UR賃貸住宅街)へ。
ここに福井のプロード社のモニュメント型風力発電があると聞いていたので見に行ってきました。
風でモニュメントの羽がまわり、歩道に埋められたLEDが光っていました。



風の強さによって色が変わると聞いていたのですが、風がずっと吹いてるので分からず、犬を連れて散歩している女性に「この電気の色、変わりますか?」と聞くと、「変わりますよ」とのこと。
色が変わるのが見れず残念でしたが、天之川の上を歩いているようでステキでした。
二日目は、講義2「住民生活の安全と地域経済の再生に役立つ公共事業政策」に参加しました。
最初は講義1の「自治体の住宅政策の現在と地域づくりの展望」に行きたいと思ってたのですが、講義2では、公契約条例について説明があるとのことで、講義2を選びました。
講師はNPO法人建設政策研究所副理事長の辻村定次さん。
第一講「住民の安全を守り、地域経済再生に役立つ公共事業とは」
2013年度予算では、「国民の命と暮らしを守る公共事業の充実」が重点化しているとしつつも、「成長戦略、国際競争強化戦略につなげる事業」も多く予算化されている問題など話されました。
これから求められる公共事業として、「住民の福祉や生活の利便性に役立ち、災害や既存施設の老朽化から住民の安全を守る事業」「財政に過大な負担をかけない事業」「地域経済の再生に貢献する事業」「住民から合意を得られる事業」が求められるとのこと。
まさしく、その通りだと思いました。
第二講義「公共発注政策の公共性と地域建設業振興を統一した入札・契約制度とは」
課題として、低価格受注競争で落札率が低回し、下請け業者が疲弊している。
設計労務単価づくりの市場調査方式によって、予定価格下落し、業者が疲弊している。
自治体の技術者の減少による設計力、積算力、監理力が低下している。
技能労働者の高齢化、若年者不足により施行力が低下している。
工事用資機材や労働力の不足による工事の遅れ…等々、公共事業をめぐる現在の問題が話されました。
そのため、市場単価方式や施行パッケージ型積算方式をやめ、「積み上げ方式」による積算が必要とのこと。
また、市内業者が施行可能な業種から、分離・分割発注にしていくべき、とのこと。
指名競争入札は官業癒着の温床となる危険があるため、入札は、業者と工事規模に格付けをもうけて、地域要件と結合した条件付き一般競争入札を基本とし、予定価格の公表も入札後とすべき、とのこと。

さて、お昼ご飯を食べにぶらりと散策…。
50年、変わらず愛されているというホットドックのお店があって(後で知ったけど…「ホットドックジロー」って有名らしい)、ホットドックセットを注文。

とっても美味しかったので、デザートにあんことクリームのホットドックを追加。

とっても美味しかったです


第三講「公契約条例は地方自治体の委託・請負事業になぜ必要か」
建設業者を担う若年技能労働者が入職しない原因は、低賃金と劣悪な就労環境とのこと。
特に、公共工事に従事する労働者の方が、民間工事より賃金が安いとのことでした。
自治体が発注すると労務費を2万円と設定しても、一次下請け、二次下請け…と中間搾取(いわゆるピンハネ?)があって、末端の労働者に実際支払われるのは14500円とのこと。
そこで、契約の中で、「労働条項」を盛り込み、労働者に正当な賃金を支払わせるというもの。
公契約条例は、「労働者の労働条件の向上が、質の良い公共物を作るとともに、地域の消費を高め地域循環型経済に貢献する」という立場で、野田市を始め現在7つの自治体で条例化されているそうです。
特に、野田市ではより良い条例となるよう繰り返し改正しているとのこと。
公契約の範囲については、予定価格が5000万円以上のものだったり条件があるので、年間5〜10件程度だそうです。
また、設計労務単価の設定や違法があった場合の責任の所在など、自治体によってそれぞれ違います。
課題としては、元請けとしてはピンハネできないのでうま味が無く、地元業者や団体の反対がある場合が多いということ。
そのため、理解を得るための懇談会やシンポジウム、そしてダンピング競争防止の最低制限価格の引き上げ、予定価格の事後公表などの取組と並行して行うことなどが話されました。
敦賀市議会で私は公契約制度について取り上げ、実施を求めたことがありますが、お話を聞いて、必要性を再認識しました。
地元業者の理解を得るという大きな課題がありますが、これからも、実現めざしてがんばりたいと思います。
それにしても…市議になって13年目ですが…。
国の構造改革によって、福祉や社会保障だけでなく、建設業界も大きく変わってきたということを知る機会にもなりました。