午前中、3.11集会の実行委員会がありました。
午後からは、前双葉町長の井戸川克隆さんの講演がありました。
題して…「東電放射能事件 壊された町・街 故郷を返せ」。
あいあいプラザの2階ホールいっぱいの人…。
双葉町は、福島第一原発の5号機と6号機があります。
3月19日、原発事故の影響を受けて、約1,200人の被災住民は、役場の機能とともに埼玉県のさいたまスーパーアリーナへ集団避難しました。
その後、30日、31日、役場の機能と避難住民は、埼玉県加須市にある廃校へ再移転・移動しました。
現在も「避難指示解除準備区域」に指定されたのは町のわずか4%。
残り96%の地域は「帰還困難区域」に指定され、除染と瓦礫撤去作業に携わる作業員以外の住民は立ち入りが厳しく制限されています。
井戸川前町長さんのお話の要約は以下のとおりです。
原発事故がおこり、原発は危険だから東京から遠くへ造ることがわかった。
福島から250km離れた東京では、事故を忘れ、オリンピックができるとお祭り騒ぎ。
老人施設で避難誘導をしていた時、原発が爆発した。
その後、原発の白い断熱材のチリがボタン雪のように降ってきた。
漠然と、「これで、おれはもう終わりだな」と感じた。
みんな、そう思ったようだ。
事故の後、政府の指示を待っていたため、逃げるのが遅くなった。
出された指示も、ただ「避難するように」言われただけ。
どこに、どうやって避難すれば良いのか、まったく分からなかった。
事故の後、スピーディーの情報が隠された。
被曝の状況も隠されると思って、自分の被曝線量をすぐに計って記録しておいた。
案の定、被曝は無かったと政府は言っている。
国や県に言ってもダメだと分かったので国連に訴えた。
その後、国連は人権理事会の特別報告で日本政府に勧告を出している。
・避難者を国民として平等に扱いなさい、仮設住宅に住まわせてはならない。
・被曝のデータ改ざんをやめなさい、健康調査を正しくやりなさい。
・1mSv/y以上のところに住まわせない、世界の常識を通用させなさい。
・被害者を会議に参加させなさい。
息子も東電の社員で福島原発で働いていた。
事故の時も、命がけで事故の対応をした。
ところが、息子の被曝線量の記録は7月のもの。
その後、会社を辞めたが、彼には何の保障もない。
国は謝罪もせず、責任を放棄している。
被害者はいるが、加害者はいない。
国は住民に謝罪しないまま、核のゴミを福島に押しつけている。
福井県知事に伝えたいこと。
国と電力会社は、責任を立地自治体に押しつけている。
運転中は住民に地域振興策として交付金をばらまき、喜ばせておいて、事故後は地元外しで、事故処理を企業優先で行うなど、東電と国がどんどんと決めていく。
福井で事故がおきても、福島の事故の対応が前例となるだろう。
福井県民に伝えたいこと。
除染の法律は、素案の段階で明記されていた東電の名前が削除された。
そして、関係電力事業者に協力を求め、国民に協力をする責務を明記。
国民の税金で除染が行われている。
再稼働をする前に、避難所を200km以上遠くにつくらせること。
事故が起きたら、全責任を保障する契約書を取り交わすこと…等々。
エネルギー基地は、エネルギーの日が消えると町が廃れる。
時代と共に変わっていくもの。
何を産業としていくか、今から考えた方が良い。
事故が起きる前に廃炉した方が、そこに住み続けられる。
会場からの質問で「双葉町議会では、事故以前、原発増設決議が出された。敦賀でも原発推進の議員が多いが、どうしたら変わるのか」という問いに答えた井戸川町長の話が胸にズシンときました。
双葉町に福島第一原発5、6号機が建設されたのは早い時期。
後から建設された原発は交付金が充実していたが、双葉町の三法交付金は少なかった。
隣の大熊町は、関係企業がたつなど充実し、ハコモノ行政を行い、若い人がどんどん双葉町から大熊町へ移転して行った。
そのため、負けないように、双葉町でもインフラ整備を行い、どんどん借金をしまくって町を維持してきた。
双葉町は財政危機に陥っていた。
そんな時、財政再建のため、町長選挙に立候補した。
2006年に町長になって、新年度予算が組めないほど、財政が厳しいことがわかった。
そんな時、福島第一原発の5、6号機が決まりそうになって、良かったと思った。
2011年の新年会で、「近々、良い話が聞けますよ」と話していた。
ところが、3月に福島原発事故が起きた。
原発は、安全だと聞いていた。
事故が起きるなら反対していた。
受け取った金額よりも失った金額の方が桁違いに大きい。
勉強する事で、エネルギー危機は回避できる。
交付金や固定資産税など受けた金額よりも、事故で失う損害は桁違いに大きい。
原発に頼るということは、国にコントロールされるということ。
他人の資本に頼る他力本願では無く、自力で地域経済の力をつける必要がある。
約3時間のお話で…伝えたいことはいっぱいありますが、書き切れません
若い妊婦さんが、お腹の子どもが成長せず堕胎した話、子どもたちが「結婚できない」と言い、若い人達が「子どもが産めない」と言っている話、戻る故郷、自分の町が無くなった苦悩などなど…。
決して、福井を福島にしてはいけない、そのメッセージをしっかり受けとめる講演となりました。