今回は、来年の介護保険の改悪を前に、介護予防に重点をおいて視察してきました。
初日のいなべ市は、国が進めようとしている要介護はずしのためのモデル事業「介護予防強化推進事業」をおこなっている自治体です。
現在、介護予防は元気な高齢者を対象とした「第一次予防事業」と気がかりな高齢者を対象とした「第二次予防事業」の二つにわけています。
ところが、いなべ市では、これをもう一つ増やし、要支援、要介護認定(要介護1、2)をうけている方を対象とした「第三次予防事業」をもうけました。
そして、平成24、25年度に第一次、第二次、第三次事業の対象者(元気な高齢者から要介護1、2認定者まで)を対象に「介護予防モデル事業」として、3ヶ月間、健康ハッスル教室、歯科衛生士や理学療法士、作業療法士、保健師などによる訪問指導、家事やゴミ出し、外出支援などの生活支援を行いました。
3ヶ月のモデル事業を終えると、「卒業」が待っています。
モデル事業を卒業した高齢者は、市内60カ所にあり元気リーダーが指導する運動教室、市内5カ所にある「四季の家(通所サロン)」、市内10カ所にある「はつらつクラブ」、市内43カ所の「ふれあいサロン」等へ通うそうです。
今年度(平成26年度)は、27年度の本格実施を前に何点か変更しました。
そして、モデル事業の実施を3ヶ月延長し、6ヶ月実施する事にしたそうです。
こうして進めてきたモデル事業の背景には、「いなべブランド」である「一般社団法人 元気クラブいなべ」の存在が大きいと言えます。
いなべ市では、平成17年につくった「元気クラブ」をつくり、気軽にスポーツを楽しみ、運動を習慣化させて健康度を高めてきたそうです。
元気クラブいなべの活動に参加した市民とそうでない市民で比べたところ、元気クラブで活動した市民の医療費は78000円安かったとか…。
こうしていなべ市では、元気クラブで運動を体験してきた市民を中心に、元気リーダーを作ってきました。
この元気リーダーのみなさんの協力を得ながら「介護予防モデル事業」を進めてきたそうです。
ちなみに、いなべ市には社協の委託を受ける「福祉委員」という制度がないそうです。
では、敦賀市の福祉委員が元気リーダーの役割を果たせるのか…?????
国は、第六期介護保険計画(平成27〜29年度)で要支援1、2の高齢者を介護保険からはずし、地域のボランティアなどで通所、訪問などをやってもらう計画ですが、もしそうなれば、地域の福祉委員にはかなりの負担となり、担い手不足が生じかねません。
たいへん重い問題です。

二日目は、埼玉県行田市です。
行田市は映画「のぼうの城」で出てきた「忍城」がある市です。
甲冑隊がおもてなしをしてくれるそうで、歴女などに大人気だそうです。
また、足袋の8割りを生産している市で、市内にたくさんの足袋の蔵があるそうです。
そして、3000年の眠りから目覚めた?「古代蓮」もあります。
車の中からチラッとだけ見せていただけました。
B級グルメで「フライ」「ゼリーフライ」が有名だとか…食べられず残念

さて、行田市では、介護予防として「健康オリジナル体操『ながちか体操』」や「健康マイスター」の養成、禁煙外来治療への補助、そして「ぎょうだ健幸UP! マイレージ」に取り組んでいる、とのことでした。
ながちか体操は動画を見せていただきながら一緒に体操しました。
気持ちよかったです。
ケーブルテレビで毎日、放映しているそうで、とても大事な取り組みだと思いました。
「健康づくりマイスター」の養成は、平成24年から実施しているそうです。
健康に意識を持つ市民が増えることを目的に、市民けんこう大学で1年間、健康について勉強してもらい、二年目は大学院、三年目は「修了生の会」とあるそうで、申し込みが殺到しているそうです。
禁煙外来治療への補助金は、卒煙できた方に1万円を上限に治療費を助成しているそうです。
ぎょうだ健幸UP! マイレージ」は、各種健康診断を受けた方、各種がん健診を受診した方、歯科検診や骨密度健診を受診した方、健康づくりのイベントに参加された方、自主的な健康づくりに取り組んでいる方にポイント制で応募してもらい、抽選で草津温泉の宿泊券やノンオイルフライヤー、電動歯ブラシ等々をプレゼントするとのこと。
まだ、始まったばかりで、具体的な成果が数字で見られず残念でした。

三日目、最終日は、静岡県藤枝市。
昨年7月にも議会運営委員会で視察に来ています。
さて、藤枝市もマイレージについて視察しました。
マイレージは自治体でやり方など様々ですが、藤枝市の「健康スポット20選・健康マイレージ事業」ということで、まちづくりや観光客の集客にもひとやく買っているとてもユニークな取り組みでした。
なんと、「健康寿命をのばそう!アワード賞」を受賞しています。
藤枝市は、第5次総合計画でも「健康、教育、環境、危機管理(交通安全)」を重点施策としてかかげていて、健康福祉部の中に「健康企画課」をもうけて4名の職員を配置しています。
ちなみに、そのうちの1人は鯖江市の方で武生高校出身だそうで、親戚が敦賀高校でナンチャラ?と…。
課長さんのお話だと、その鯖江出身の職員がいなければアワード賞の受賞は無かった…とか???
さて、「健康・予防日本一ふじえだ」は守る健康だけでなく、創る健康にも力を入れて、市民をまきこんで楽しくやっているとのこと。
ちなみに、藤枝市には30年前から「保健委員(区長)」「健康推進委員」の制度があり、各町内におられ、現在2万人の方がその経験者だとか。
昔から、健康に力を入れているおかげで、健康診断の受診率が高く、「メタボ」「糖尿病患者」が少ないそうです。
また、病院の受診率は高いのですが、医療費は低いとのこと。
早期発見、早期治療によって、医療費が高額にならずにすんでいるそうです。
こうした下地があるのですが、健康に関心をもていない市民に運動をさせる取り組みを始めるきっかけとなったのが、高速道路の開通イベントとのこと。
ふだん歩かない市民が、高速道路を歩くという目的でたくさんの応募があったそうです。
そして、健康以外の目的でウォーキングする市民が多いことに気づいた、とか。
そして、ゲーム感覚でバーチャルで東海道を歩くマップをつくったそうです。
東海道を歩き終えると、奥の細道コース、四国お遍路コース等々あります。
これは、ネットでもできるようにして、ネットの場合はグラフなども連動しているそうです。
また、健康スポット20選は、市内外の方にひろく公募し、健康に良いところなどをあげてもらったそうです。
そして、それをマップにし、そのマップを元に、健康のまちづくりとしての意識が市民に芽生えたとか。
イベントでもそのマップを利用し、まちづくりにも貢献しています。
健康マイレージは、毎日、体重、食事、歯磨き、休養など健康の記録を付けます。
健康診断やがん健診、イベント参加やボランティアの参加などはボーナスポイントが追加されます。
ポイントがたまって応募すると、「ふじのくに健康いきいきカード」がもらえます。
これは、県が発行するもので、協力店で提示すると、割引や特典がもらえるので大好評でひろがっているとか。
これも、ネットでもできるそうで、体重の変動もグラフで見られるし、若い人が好きそうです。
市長が「市民が知らなければやってないことと同じ」と言うので、事ある毎に、PRをしながらすすめているそうで、弾丸トークでしたがとても参考になるお話でした。

ちなみに…藤枝の駅の壁にこんな表示が…。
寄贈は「静岡県土地家屋調査士会 志太支部」だそうです。
