「高浜原発の再稼働中止を求める申し入れ」
東京電力(株)福島第一発電所の事故から3年9ヶ月がたちましたが、いまだに事故は収束しておらず、12万人を超える人たちがふるさとに戻れず避難生活をおくっています。
安倍政権が、「原子力規制委員会(以下、規制委)の審査に適合した原発は再稼働させる」としていることをうけ、貴社は大飯原発につづき、高浜原発3、4号機及び1、2号機を動かそうとしていますが、これは、「フクシマ」の再来に不安をつのらせ、「原発ゼロ」を願う7、8割の国民の声に逆らうものです。
貴社や電力業界などは原発再稼働を急ぐ理由として、原発を停止し稼働させている火力発電所の燃料費がかさむことを述べていますが、先の福井地裁が明確に判示したとおり、人間の生命や環境に深刻な被害を及ぼす原発の再稼働と、電力会社の経営問題を天秤にかけるのは重大な誤りです。
よって、下記の点を合わせて指摘し、高浜原発3、4号機及び1、2号機の再稼働を中止するよう求めます。
記
1、貴社の高浜原発が、規制委の新規制基準に「適合」したとする審査書案では、同原発で想定される地震の最大の揺れ(基準地震動)を700ガルとしています。しかし、地震動想定はバラツキが極めて大きい上に、そのもととなる地震動データは数十年程度のものでしかなく、この程度のデータで今後12 〜 13 万年間の最大地震動の想定をしようとすれば、その誤差は極めて大きく、確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能であり、高浜原発に700ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能です。(この10年足らずに4つの原発で、想定した基準地震動を超える地震が5回も到来している)
2、審査書案は、想定する津波の高さを6・7メートルとして、防潮堤などを建設し、敷地の浸水を防ぐとしています。これは、「日本海における大規模地震に関する調査検討会」(以下、検討会)の検討結果に基づくとされていますが、その結果は最初の試みであり限界があります。たとえば、この津波計算は沿岸を50m四方のメッシュ(編み目)で区切ってなされていますが、この精度では、沿岸近くの地形の影響で津波の性質や高さが甚だしく変わることを充分に取り入れることができません。津波は反射も屈折も、重なり合いもします。その結果、局所的に高い波が現れることも考えると不十分です。
また、検討会は発生する津波高を予測する場合、「断層の面積とすべる量、とくにその水平投影量で、津波の大きさ、高さが決まる」としていますが、これでは若狭湾の断層と津波の場合、断層の傾斜が急なほど、発生する津波は小さくなります。さらに検討委員会は、若狭湾では地形の複雑さによって、水の動きが非常に複雑になること、津波到達時間が1分以内と短くなることなど注意を喚起しています。
こうした指摘に対し、福井県は「津波高について、10m四方のメッシュなどの評価方法や計算式の妥当性、歴史津波、山体崩壊などの関係を含め、今後検討委員会を立ち上げて検討する」言っています。検討はこれからで、貴社の結論は早々です。いずれにしても若狭湾のようなリアス式海岸での原発設置は、津波や山崩れと深層崩壊など他の場所と比べても極めて危険です。
3、貴社は、高浜原発で過酷事故が起きれば19分で炉心溶融し、1・5時間後に原子炉圧力容器が壊れ、放射性物質が漏れるとしています。しかし、住民を放射能から守る自治体の避難計画は自治体任せで審査の対象に入っておらず、住民の安全は無視されています。
「地元の同意」の手続きも、住民への説明会を開催しないなど問題です。
また、高浜原発の30キロ圏には福井県だけでなく、京都府、滋賀県の3府県が入ります。京都府舞鶴市は、事故時に即時避難が必要な5キロ圏の地域があり、両府県は安全協定の締結を求めています。「地元の同意」の「地元」にこれら周辺自治体を入れるべきです。実効性ある原子力防災計画も無い「国際基準」違反の再稼働は論外です。
4、老朽化した原発の炉心は、中性子劣化と脆性遷移温度の上昇により「脆性破壊」や「照射誘起応力腐食割れ」による「炉心崩壊」の危険が高くなります。特に、中性子の照射量が多い加圧水型原発で起こりやすい傾向があります。
新品の原子炉の脆性遷移温度は−20℃ですが、高浜1号母材68℃(2012年)でさらに上昇していると考えられます。そのため、老朽化した原発は事故の起きる確率が高くなり、地震などの際、ますます危険です。
安倍政権が、「原子力規制委員会(以下、規制委)の審査に適合した原発は再稼働させる」としていることをうけ、貴社は大飯原発につづき、高浜原発3、4号機及び1、2号機を動かそうとしていますが、これは、「フクシマ」の再来に不安をつのらせ、「原発ゼロ」を願う7、8割の国民の声に逆らうものです。
貴社や電力業界などは原発再稼働を急ぐ理由として、原発を停止し稼働させている火力発電所の燃料費がかさむことを述べていますが、先の福井地裁が明確に判示したとおり、人間の生命や環境に深刻な被害を及ぼす原発の再稼働と、電力会社の経営問題を天秤にかけるのは重大な誤りです。
よって、下記の点を合わせて指摘し、高浜原発3、4号機及び1、2号機の再稼働を中止するよう求めます。
記
また、検討会は発生する津波高を予測する場合、「断層の面積とすべる量、とくにその水平投影量で、津波の大きさ、高さが決まる」としていますが、これでは若狭湾の断層と津波の場合、断層の傾斜が急なほど、発生する津波は小さくなります。さらに検討委員会は、若狭湾では地形の複雑さによって、水の動きが非常に複雑になること、津波到達時間が1分以内と短くなることなど注意を喚起しています。
こうした指摘に対し、福井県は「津波高について、10m四方のメッシュなどの評価方法や計算式の妥当性、歴史津波、山体崩壊などの関係を含め、今後検討委員会を立ち上げて検討する」言っています。検討はこれからで、貴社の結論は早々です。いずれにしても若狭湾のようなリアス式海岸での原発設置は、津波や山崩れと深層崩壊など他の場所と比べても極めて危険です。
「地元の同意」の手続きも、住民への説明会を開催しないなど問題です。
また、高浜原発の30キロ圏には福井県だけでなく、京都府、滋賀県の3府県が入ります。京都府舞鶴市は、事故時に即時避難が必要な5キロ圏の地域があり、両府県は安全協定の締結を求めています。「地元の同意」の「地元」にこれら周辺自治体を入れるべきです。実効性ある原子力防災計画も無い「国際基準」違反の再稼働は論外です。
新品の原子炉の脆性遷移温度は−20℃ですが、高浜1号母材68℃(2012年)でさらに上昇していると考えられます。そのため、老朽化した原発は事故の起きる確率が高くなり、地震などの際、ますます危険です。