予定より30分遅れて福島県いわき市に到着。
いわき市在住、原発問題住民運動全国センター筆頭代表、伊藤達也さんの案内で、
事故を起こした福島第一原発の立地自治体の楢葉町、富岡町、
隣接自治体の広野町に視察に行きました。
まず、いわき市を出発して広野町へ。
ここは、伊藤さん曰く「人の戻らない町」。
広野町は福島第1原発の30キロ圏内、第2原発から20キロ圏内にあります。
人口は約5000人の町です。
原発事故後、「緊急時避難準備区域」に指定され、全町民が避難しました。
その後、その年の9月30日に解除され、いたるところで除染が行われましたが、
住民は2割しか戻って来ていない、とのこと。
ところが、避難して帰ってこない8割の住民と同じ数ほど、
事故処理や除染をする作業員が住んでいるので、人口は減っていないそうです。
津波で多くの家がながされ、今は、家の基礎だけが残ります。
かつて賑やかだった商店街
広野駅。
これより東、原ノ町駅までは原発事故の影響により運転休止。
ここから東へ延びる線路には草が生い茂っていました。
いたるところに警察官。
パトカーは「練馬」ナンバーでした。
遠い所では、「山口」のナンバーもあるそうで、総動員です。
「Jブリッジ」…東電などが出資してできた130億円のサッカーの施設。
事故後、全面閉鎖し、サッカー場の芝をはがし、作業員の寄宿舎を建てたり、
彼らを送迎するバスの駐車場になっていました。
宿舎が建っているサッカー場
バス停留所になったサッカー場
除染を始めましたが、二年半も家を空けていないと、家の中は湿気でカビだらけ。
小動物の毛や死骸で大変だそうです。
常磐線は、現在、広野駅が終着。
現在、運転を再開すべく、レールの除染をしているとのこと。
でも、問題は、砂利の汚染だそうです。
大量の砂利を入れ替えても、その汚染された砂利をどこへ持って行くのか
問題は山積みです。
次に…楢葉町へ。
ここは福島第1原発の20キロ圏内です。
伊藤さん曰く「除染の町」。イノブタが増えているそうな…。
家はあるけど人影はなし…
除染で出る放射線で汚染されたゴミ、残土、草などは黒い袋に詰めて、3年間、借り置きするそうです。
袋は5年間もつそうですが…3年後、いったいどこへ持って行くのか?
まったく見通しはありません。
昨年8月、避難指示解除準備区域になり、町へ入れるようになりましたが、
放射線量が高くて、実際町内に行けるのは、午前9時から午後4時まで。
泊ることは許されていません。
暮らすことができない町で、人の気配はありません。
荒れ放題の町
道の駅「ならは」は温泉付きだそうですが、
今は、双葉警察署の臨時庁舎になっています。
最後に、富岡町です。
ここは、伊藤さん曰く「2年半前から時計が止まった町」。
またもや警察官。
この橋の向こうが、福島第二原発です。
事故を起こした第一原発から10キロの場所。
富岡町でも除染作業が行われていました。
草だらけです。
富岡駅前の商店街。
津波が来た時間に時計が止まっていました。
原発事故さえなかったら、とっくに、他の町のように復興をすすめることができるのに…この町だけ、2年半前のまま。
胸が詰まって…辛くなりました。
富岡駅。
かつての富岡駅の姿は想像もできません。Wikipediaでどうぞ…。
かつては、この駅の向こうにも多くの店や住宅がありましたが…
みんな津波でながされてしまいました。
かつては「スーパーひたち」も停まっていたのに…。
草が生い茂り、見えにくくなっていますが、
たくさんの車が、津波でながされ転がっていました。