2014年03月02日

小浜市で避難計画の学習会

昨日(3月1日)、午前中、敦賀市で、「3.11さよなら原発福井県集会」の実行委員会があり、それが終わってから、急いで小浜市へ…。

小浜市文化会館で「3.11さよなら原発福井県集会inさばえ」のプレ企画として、小浜・おおい・高浜の実行委員会主催で原発事故の避難計画の学習会がありました。

講師は環境経済研究所の上岡直見氏で、題して「原発事故で本当に避難できるだろうか?」。

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上岡氏は、23年、化学プラントメーカーで勤められ、どこがどう壊れるのか、壊れた時にはどうしたら良いのか…等、設計・安全性審査に従事されていたそうです。

低レベル廃棄物の焼却炉の仕事もされたとか。

低レベルの放射性物質のゴミを焼却すると、ゴミは燃えますが放射能は燃えて無くならないので、フィルターに付着し、フィルターも放射性物質になってしまいます。

そのフィルターを処分するため、また処理をする…放射能は消えないので繰り返すことになり、事故は無くても経済的にあわない、と感じていたそうです。

もともと環境と交通のかかわりに関心を持っていたので、2000年から環境政策研究所に所属して本格的に研究するようになり、原発事故後、避難計画の問題についてとりあげることになった、とのこと。

都道府県も数百万円使って避難のシュミレーションをしていますが、上岡氏は、公開されている資料だけでシュミレーションをしています。

それは、公開されている資料だけでもシュミレーションして十分、問題を明らかにすることができる、ということをみんなに知ってもらい、市民の目線でチェックしてもらうため、とのこと。

原発避難問題の構造は、規制委員会が「新規性基準の適合を審査するのが役割であり、安全を保証するものではない」と言い、政府も「審査を通過した原発は再稼働する」と言って、お互いが責任逃れをしています。

また、規制委員会は「避難計画が無ければ再稼働は困難」と言っていたのに、現在、政府は「新規制基準と地域防災計画は関係ない」と明言し、防災計画の責任も放棄しています。

そして、防護対策を講ずる範囲を30kmに拡大したものの、避難計画とは接点がなく、地域防災計画は自治体の責務になっています。

避難には、どう動くか、情報が適切に出されるか、の二つの問題があります。

解析コードでは、燃料溶融20分、原子炉容器貫通1時間半前後となっています。

シュミレーションしてみたところ、迅速な避難はできないことがわかりました。

東京オリンピックの誘致は、福島原発の事故は問題無かったことを世界にアピールする狙いがありました。

また、特定秘密保護法ができましたが、電力会社はすでに先取りして取材を制限しています。

今後、「住民をできるだけ動かさない避難計画」になりかねず、情報を隠すなども危惧されます。

経済が低迷しているため、「仕事が欲しい」と再稼働を求める声もありますが、原発立地の自治体とそうで無い自治体で各種社会指標を比較してもあまり変わりはありません。

小浜市のように原発立地を断ったところが50近くあります。

岩手県の田老村も断りました。

東日本大震災がありましたが、もし、田老村に原発ができていたら、今頃、福島のように酷い状況になっていたでしょう。

事故によって防災対策の地域が見直され、対象が10キロから30キロになりましたが、30キロ圏内というと県庁所在地があります。

立地自治体だけの問題ではありません。

原発は再稼働をさせてはならないと思います。

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その後、会場からの質問に答えるなかで、学習が深まりました。

昼は家族バラバラ、夜は家族と一緒などシュミレーションは昼と夜では違う。
避難シュミレーションは数百通りあり、気象条件を入れると膨大な量になる。
風向きあらかじめ分かってシュミレーションしたとしても、道路条件などにより自由には逃げられない。
車で避難所に向かうよりも、一旦、歩いてコンクリートの屋内待避をした後、バスで避難所に行く方が多くの被曝をする。
一斉に避難すると、国道8号線が渋滞になり逃げられず、原発に近い住民ほどより多くの被曝をする。
ヨウ素剤をあらかじめ5キロ圏内の住民には配布されているが、それ以上の住民には必要になれば市役所の職員がまわることになっているが困難。
東海村JCO事故の時、500m以内の住民に避難勧告が出たが、お年寄りを避難するよう説得するのは大変だった。
posted by きよこ at 21:34| 原発関連2013.6.30〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする