社会保障の議員研修3日目。
午前中は、「マイナンバーとデジタル庁は
社会補償制度をどう変えるのか」
講師は、黒田充氏(自治体情報政策研究所代表)です。
内容が多く、しかも、お先真っ暗…😖💦
お話しを聞いていて、気が重くなってしまいました。
マイナンバーのスタートは、
収入や財産の把握と、社会保障費の削減。
真に支援が必要な人の選別、
過剰な医療提供の削減…等々でしたが、
これはまだ、始まっていません。
ところが…
今や、マイナンバー制度を含むデジタル化政策は
生活全般にかかわり、社会を大きく変貌させ
基本的人権を葬り去るものへと変貌しつつある、と。
「漏れたら恐い」に留まらず、
政府や大企業によって、合法的に使われることで
引き起こされる人権侵害にこそ目を向けるべき!と。
企業が持っている個人情報、
政府や自治体が持っている個人情報を名寄せし、
AIを使って、プロファイリングし
対象者の人物像をコンピューター上に仮想的に作り
「この人はこういう人」と決めつけてしまいます。
プロファイリングにもとづく「決めつけ」で
選別や排除などが行われ、
人権侵害が引き起こされる可能性があります。
AIは、ただ、学習データとして与えられた
過去の事例や前例に従って対象を統計処理してるだけ。
与えられた学習データに偏りや誤りがあれば、
AIも偏った、誤った結果を出してしまいます。
ところが、AIが下した結果に対して、
判断した推測の過程や根拠がわからないのに、
疑問を抱かず、正しいものとして
安易に受け入れてしまう可能性があります。
また、人は成長する、変わるということは
AIは理解できません。
過去に不登校だった、過ちを犯した等の情報が
一生、ついてまわります。
中国では、アリババグループによる
「信用スコア」が広く普及しているそうで…
アリペイの使用状況、返済履歴のほか、
学歴、職歴、資産、交友関係、買い物等の日常行動、
犯罪歴などの個人情報をもとに、
1人ひとりに点数が付けられているとか。
高得点の人は、
ホテルやレンタカー等の保証金が不要になったり
融資を受けるのが簡単だったり…
様々な特典があります。
逆に、点数が低いと、就職や婚活など、
様々な場面で差別的な扱いを受けてしまいます。
そのため、人々は、競争心をかき立てられ、
点数アップに精を出しているそうですが、
スコア算出の仕組みは非公開のブラックボックス。
顔認識技術も日常的に浸透していて、
街頭の監視カメラ、常時、人々を撮影しています。
もし、交差点で信号無視をしてわたろうとしたら、
顔認識技術を使って、違反者の顔を識別・特定し、
街頭ディスプレイへ表示されてしまうそうな…
中には、罰金を課すシステムもあり、
都市部では、住民のマナーが急速に向上している、と。
杭州市のある高校では、
生徒の表情を30秒ごとにスキャンし、
幸せ、怒り、恐怖、困惑、興奮の5項目に分類し、
書く、読む、挙手、机で寝る等の行動も記録し、
生徒の評価に繋げているそうです。
聞いてて辛くなる内容ですが、
でも、伝統的功利主義が重視される中国社会では、
プロファイリングを目的とした監視を
安全、安心、便利と、疑問を持たずに
受け入れているそうです。
一方、EUでは、
プロファイリングされない権利を明記しているそうで…
プロファイリングにたいして、異議を唱える権利、
自動処理のみで重大な決定をされない権利をもつ、と。
その背景には、ナチス・ドイツによる欧州支配と
東ドイツ等の監視社会という重い歴史があるそうです。
特に、ドイツでは、
マイナンバーのような共通番号制度だけなく、
国勢調査さえ、人権侵害であり憲法違反。
欧米では、
公的機関による監視カメラや顔認証技術の
利用への異議申し立てや、利用規制が進んでいる。
サンフランシスコ市は、
顔認証技術の行政機関の利用を禁止(2019年)
ボストン市議会も、
市による顔認証技術の使用禁止を議決(2020年)
スウェーデン政府は、
生徒の欠席確認に顔認証技術を利用した学校に
220万円の罰金を科す(2019年)
イギリスのサウスウェールズ警察の
顔認証技術(NEC製)を使った人物照合を
欧州人権条約に反し違法だとの判決を
控訴裁判所が下す(2020年)
IBMやAmazonは、
警察等への顔認証技術の提供を止めると表明。
では、日本はどちらへ進むのか???
日本社会の個人情報保護の意識は、
欧米に比べ、格段に遅れています。
プロファイリングという言葉も
あまり知られていません。
個人情報保護の議論も、
情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティの話。
政府や大企業をどう規制するか、の議論はなし。
デジタル改革関連法の一つ
「デジタル社会の形式を図るための
関係法律の整備に関する法律」に含まれる
個人情報保護法の改正にも、
プロファイリングされない権利はうたわれていない。
「デジタル社会形成基本法」の基本理念には、
個人情報保護の文言すらなく、
個人情報の利活用一辺倒、という現状です。
2019年、リクナビ事件がありました。
リクルートキャリヤ社の就職サイト「リクナビ」が
登録した大学生のウェブサイトの閲覧履歴を
本人の同意なく取得し、
AIを使ってプロファイリングし
内定辞退率として数値化し、
本院の同意なく30社に販売しました。
これを買った企業が、採否判定に利用したそうで…
大問題となりました。
スコアを企業に販売された学生は74,878人。
うち、66,895人は個人情報保護法で違法とされず…
どのように算定され、使われるか説明がないそうです。
また、JR東日本は、駅などに設置した
監視カメラ8350台と顔認識技術を使い、
重大犯罪を起こした出所者や仮出所、指名手配犯、
うろつくなど不審な行動をとる者を検知する
システムを稼働させたそうです。
ところが、マスコミ報道に、批判が殺到し、
当面、不審者に限定することになったそうですが…
不審な行動は、AIに入力されたデータに基づくもの。
不明瞭で、逆に不安ですよね。
そして、一度でもAIに不審者と認識されると、
ずっと不審者としてマークされ続けることに…。
中国の総監視社会を恐いと思っている人、多いハズ。
でも、「素晴らしい」と感じ、
ビジネスチャンスを求める人達も少なくないそうです。
2019年、当時の片山大臣は、
中国政府と地方創生に関する協力を強化する
覚え書きを交わしたそうです。
もはや、中国におけるプロファイリングと監視社会は、
対岸の火事ではない💦
個人情報保護法の改正をふくむ
デジタル改革関連法の狙いの一つは、
民間企業による個人情報の利用拡大であり、
行政機関のもつ個人情報の民間企業への提供です。
政府は、「データ流通」による価値創造、と
言ってるらしいけど…
個人情報を、企業の儲けの道具にしようってこと。
デジタル庁ができたけど、
デジタル庁の長は内閣総理大臣で、極めて異例。
関係機関の長への勧告権を持ち、
政府全体の情報システムを一元的に管理する、と。
また、自治体戦略2040構想では、
今後、自治体システムの標準化、パッケージ化で
職員を半分にすることを考えているそうです。
標準化、パッケージ化すれば、
自治体独自のサービスの拡充などができなくなり
独自の減免などもできなくなるそうです。
安全、安心、快適、清潔、便利を感じられる
「幸せな監視社会」と言うけど…
プロファイリングで権力に逆らう人を選別し、
排除することがその前提。
漏れたら恐い、で留まることなく、
政府の施策や大企業の思惑を正しく知り、
何が問題なのかを理解することが重要、と。
デジタル化は、人類発展から考えると
避けては通れないこと…
このような中で、
基本的人権を「監視」からどう守るか、
「監視」をどうコントロールするか、
グローバル企業等の横暴から
市民や社会をどう守るか。
ITを民主主義の発展に、国民生活の向上に、
社会保障制度の拡充に、基本的人権の擁護に、
どう活かすのか、課題です。
他、マイナンバーカードの話しもありましたが、
頭がいっぱい、いっぱいになって溺れそう〜💦
午後は、「コロナ禍のもとでの国民健康保険運営と
2022年度の保険料率等の動向について」
2020年は、コロナ禍で、
医療費減により黒字になりましたが、
2021年は、コロナ禍で仕事がなくなり、
被用者保険から国保への転入者が多く、
また、団塊世代の、後期高齢者以降による
国保加入者減に歯止めがかかり、
当初予想よりも実績が上回ったそうです。
更に、コロナの治療における診療報酬の特例措置は、
本人負担は公費負担されますが、
保険者負担分の財政支援は十分ではいため、
赤字となっているそうです。
その他、差押えの問題、
法定外繰入について、保険料統一につい…等々、
これまで同様のお話しをお聞きした後、
2022年度の国民保険料の動向について
前期高齢者交付金が小さくなるため、
保険料が上がることになる、等々。
国保については、都道府県単位化されて以降、
県の医療構想もからみ分析とか難しくなりました。
それでも、なんとか住民の命、健康を守る
国保となるようがんばりたいと思います。
さて、3日間、6つの講座の研修が終わりました。
朝10時から夕方5時まで、三日間、
Zoomとはいえ長かった〜💦
この研修を、どう議会内外の活動にいかすか、
大きな宿題をたくさんいただきました。
がんばらなくては!
さて、次回は11月だそうで、選挙の4ヶ月前…?
大変ですが、絶対に受けたいと思います。