26日、福井県労連女性部主催の学習会があり、
オンラインで参加させていただきました。
講師は、長崎大学の矢内琴江准教授。
昨年まで福井大学で特命教授をされていた方です。
内容は、「日常のはてな?からジェンダーを考える」で
昨年の第2弾。
冒頭、長崎の海が、福井の海と違う…とか話されてて、
長崎育ちの私としては、めちゃ親近感💓
講演の前に、質問や疑問など募集しておられ
それを基に進めて、とてもわかりやすかったです。
以下、学習会の中で、改めて勉強になったことは…
廃藩置県で、それまでの封建的な「家」制度が崩れ、
明治民法によって、あらたな鋳型が作られた。
明治民法では…
長男単独相続に基づく家制度を国家の規範とし、
男性戸主を中心として家族が構成され、
妻は夫の家に入るものとされ、
夫の姓を名乗り(明治31年から)、
妻は無能力者、法律上の行為には夫の許可が必要、
子の親権者は父親…など
19世紀末に、福沢諭吉らが発行していた雑誌から
家族が「ホーム」として広まり、
1885年には、「ハッピーホーム」幸せ家族という
言葉も。
1910年代には女性ジャーナリズムの影響で
欧米の「スウィートホーム」のイメイージ、
夫が仕事に行き、妻が家庭を守る、
和気あいあいと食卓を囲む、新しい家族の風景が
広がり、受け入れられていった。
明治憲法では、女性の参政権は認められておらず、
女性は、政治に口出しせず、内助の功で、
良き妻、賢い母として国家に貢献することが求められ、
良妻賢母の女子教育が行われるようになった。
また、恋愛の輸入も。
それまで日本にあった「色」「情」とは違う
異なる概念が輸入され、
女性雑誌で、西欧の「恋愛結婚」を紹介。
夫婦間の真の愛に基づく家庭を、
理想的な家庭像として広めた。
一夫一婦制の確立が難しい中、
「人種改良には恋愛が必要」
「優秀な子孫を残すには恋愛結婚」という
恋愛結婚イデオロギーが登場し、強化された…等。
恋愛結婚や食卓を囲む家族団らんって、
普通に受け入れていたものが
実は、欧米や西洋から輸入され
意図的に広げられたものとは知りませんでした。
そういう意味では、「サザエさん」は
理想的な家族像を国民にうえつけるのに
だいぶ貢献したんだろうなぁ…
さて、次に性別のお話。
これまで、LGBTについては、
学習会や交流会に参加し、勉強してきましたが
今回、更に、深く学ぶことができました。
男女は、性染色体でわかれるが、
揺るぎないように思える染色体ですら多種多様。
染色体が明確に、典型的な男性、女性に分かれず、
ターナー女性、クラインフェルター男性、
XYY男性、XX男性、XY女性…等々ある。
性染色体、性腺、性器など
生まれつき典型的でないケースも多く、
性自認、恋愛の仕方、性行為の仕方、すべて
人それぞれ、多様でありグラデーションである。
ところが、日本では、家族像の鋳型のもと、
性的マイノリティの人々が生きづらい状況がある。
そうした中、不登校、引きこもり経験は40%。
うつ病など精神疾患にかかり、
「死にたくなった」と思った方は88%。
また、経済状況もたいへん厳しい。
自分らしく生きられない、
心身ともに文化的、健康的に生きられない社会。
トランスジェンダーは、
生まれた時に割り当てられた性別と
性自認(心の性)が違う人で…
戸籍上は男性だが女性として生きている人が、
保険証の性別が見た目と違うため、病院に行きづらい。
戸籍上の性別を変更するためには、
婚姻していないこと、
子どもがいないこと、
性腺や生殖腺が無いこと、
近似する性器を備える手術をすることが必要。
でも、手術をしたくない人もいるし、
結婚し子どももいて離婚を望まない人もいる。
また、同性婚が認められていないことによる困難も。
家族向け賃貸物件や公営住宅に入れない。
病気やケガで入院するときに、
看護、面会、手術の同意ができない。
配偶者控除、第三者被保険者制度、
健康保険での扶養家族扱いが認められない。
パートナーが死亡したときに、年金を受け取れない
…等々。
でも、同性婚はゴールではなくて、
結婚、家庭の幸せなイメージの鋳型に
押し込めることに問題があるのでは?
あらためて、制度としての結婚を問う必要は
ないだろうか?
親密な関係を制度化する必要はあるのか?
カップルを核にする家族のあり方に問題はないのか?
最後の問いかけで、ふと思い出したのが
自民党の憲法草案。
家族を社会の基礎的単位とし
家族で助け合うことを義務とするもので…
ジェンダー平等、多様性の尊重を!
という今の流れから逆行するものです。
あらためて、もっと勉強しなければ!と思いました。
夕方、若い女性からのご相談。
喫茶店で、仕事のこと政治のことなど悩みをお聞きし、
ジェンダー学習会にお誘いすれば良かった、と後悔。
これからも一緒に、
政治について考えて行けたらと思います。