2023年11月09日

社会保障について三日間、議員研修を受講

日曜日の晩11時ごろ、敦賀を出発し、

国道161を走り、京都から1号線を走り…

だんだんと眠くなってきたので、

途中から高速を走って、

無事、夜中2時過ぎに大阪の実家に到着。


そして、実家で寝起きして、

月曜日から水曜日まで三日間、

大阪の難波で開催された

大阪社保協主催の議員研修を受講しました。


議員研修の内容は…

@シングルマザーの支援

A介護保険の改悪の内容と自治体の事業計画

B自治体の貧困対策

Cメンタルヘルスの視点から見る子育て・女性支援

D異次元の少子化対策と「子育て罰」

E国保の基本と「統一国保」の問題


6講座×3時間=18時間です。


それぞれ、当事者のみなさんを支援したり、

研究をされている方々が講師で、

新しい気づきがいっぱいあり、

充実した研修でした。


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@「女性・シングルマザーの生活問題と

彼女らが求める母子支援

〜シンママアンケート結果からの提言〜」

講師:砂脇恵(龍谷大学准教授)



シンママ応援団(大阪、熊本、福岡)でおこなった

シングルマザーへのアンケートから、

パート、アルバイトなど不安定就業が多いこと、

平均週5日、37.1時間の労働で、

年間手取り200万円未満の方が63.6%とのこと。


住まいは、過半数の方が民間アパートで、

家賃は6万円未満。


住宅費が家計のしわ寄せになっています。


こうした中、衣料費、美容費、趣味をあきらめ、

お菓子、おかずまで節約している家庭が50%超。


特に、病気などで働けていない家庭では、

おかずを節約しているという方が79%も…


子どもを優先して

自分の食べる量を抑えている方が41.4%で、

1日1食の方も。


睡眠時間が6時間未満が62.1%で、

96%のママが、何らかの不調を抱えています。


子どもをケアするママのケアが必要であり、

国の制度の拡充も必要ですが…


自治体として、入居できる公営住宅、

給食費や医療費の無料化、

自治体の奨学金制度の充実など必要であり、

制度の手続きの簡素化や

SNSの相談窓口の整備なども重要です。


敦賀でも、実態がわかるアンケートをとり、

市独自の政策を求めなくては!と思いました。



A第9期介護保険改悪の内容と自治体での

事業計画策定のポイント

講師:日下部雅喜(ケアマネージャー)



日下部さんは、元堺市役所の職員です。


日中は、介護保険の担当として働き、

夜は、介護保険で困っている方を

支援する活動をされてきました。


今は、生活困窮者が多い西成区の診療所で

ケアマネージャーをされているそうです。


講演は、主に、2024年度法改正について。


来年度から介護保険の第9期が始まります。


政府は、利用料原則1割の2割化と

多少室の室料負担について、

年末までに結論を出すそうですが…


2割になるということは、2倍になるということ。


利用できなくなる人が出てくるため、

自治体独自の減免制度の拡充が求められます。


また、介護保険料についても、

公費が下げられるため、

全体的に、介護保険料が値上げになる可能性も。


基金は、3年間、同じ保険料で

介護保険を運営するためのもの。


1年目は、余るので、積み立て、

2年目はトントンで積み立て無し、

3年目は、足りないので取り崩す…


これを事業計画の3年ごとに繰り返すハズが…


余って基金が増え続けるということは

保険料が高すぎたということです。


そのため、基金を取り崩して、

値上げさせないよう求める必要があります。


要介護1,2を保険から外し、

総合事業にする計画については、

次の10期に先延ばしされたようですが…


要支援1,2を介護保険サービスから外し、

総合事業と言って、基準を緩和した

安上がりのサービスへ移行させたことで

コスト削減になっていますが…


介護の質を低下させることになり、

従事者や事業者の減少にも繋がっています。


現在の基準を緩和したサービスについても、

報酬カットは許さない運動が必要です。


また、介護従事者の不足も問題です。


国は、解決のため、

人員基準を緩和しようとしていますが、

それでは、ますます大変になるだけです。


労働にふさわしい賃金水準など、

国に求める声を敦賀からもあげなくては!

と思いました。



Bいまなぜ国・自治体による貧困対策が重要なのか

講師:加美喜史(佛教大学教授)



日本では、相対的貧困率が高く、

その背景には、賃金が安い

非正規雇用が多いことがあげられます。


一方で、企業の内部留保はコロナ禍でも増え続け、

ついに500兆円を超えました。


ところが、貧困を「自己責任」と考える国民が

多くなっている、とのこと。


国際比較で見ると…


「収入の少ない家庭の大学生に、

経済的な援助を与えることは政府の責任」

「どちらかといえば政府の責任」

と考える日本人は、あわせて67%で、

35ヶ国中最下位。


「失業者がそれなりの生活水準を

維持できるようにすることは政府の責任」

「どちらかといえば政府の責任」

と考える日本人は、あわせて53%で、

下から2番目の低さ…


アメリカで実施された国際意識調査でも、

「自立できない非常に貧しい人達の

面倒をみるのは国の責任」と考える人は

スペイン96%を筆頭に、大半の国が80〜90%台。


ところが、日本は59%で、47ヶ国中最下位。


このように、社会から援助を受けず、

自力で生きることに価値をおく

「新自由主義」的価値規範が浸透し、

国などから援助を受けながら生きることを

批判する考えが根付いてきたようです。


そして、「助けて」「苦しい」と

声が出せなくなってきている、と。


こうした背景には…


憲法25条生存権で保障されている社会保障を、

政府は、長い年月をかけ、

自己責任論のイデオロギーによる改悪で、

「公助」から「共助」へと変えていき、

公助は生活保護のみにしてしまったこと、


加えて、労働組合運動や住民運動の弱体化も。


社会保障は、戦後、労働組合や住民団体の

運動で充実されてきた歴史があります。


そのため、労働組合や民主団体が加盟する

社会保障推進協議会の運動がいかに重要か、

再認識しました。


今年度、嶺南社保協で、

自治体への要望活動を再開する計画です。


今回、学んだことを社保協のみなさんと共有し、

要望活動にいかしていきたいと思います。



Cメンタルヘルスの視点から見る子育て支援・

女性支援

講師:加藤雅江(杏林大学教授)



加藤先生は、大学病院の救命救急センターで

自殺未遂者や暴力被害者、虐待者への対応をされ、

現在、地域で2つのNPOを立ち上げ、

虐待の予防の活動や女の子のシェルターなど

活動されているそうです。


子育て家庭の孤立化の中、年間66件77人の

子どもが虐待により亡くなっているそうです。


現在、精神科疾患の患者さんが増えていますが、

「自分なんか」と過小評価する人が増え、

一方、尊重されなかったり、

受け入れられなかったりしてきた中で、

SOSを発信できない状況にある、とのこと。


よく、「負の連鎖」と言いますが…


子どもの頃、暴力を受けて育ったお母さんの

暴力を愛情表現、コミュニケーションの形と

認知してしまっている「認知の歪み」を

どう変えていくか…


親たちが子どもの頃に保証されなかった

「子ども時代の環境」「子どもとしての時間」

を保証することが必要、とのこと。


子ども達の声を「聞く」だけでなく、

困っている背景を解決する事業が大事であり、

民間サービスをつなぎ合わせることも必要、と。


敦賀では、NPOが少ないため、

こども食堂の取り組みを広げることが

重要だと感じました。



D異次元の少子化対策で「子育て罰」は

解決するのか

講師:桜井啓太(立命館大学准教授)



世界的に「チャイルド・ペナルティ」が

問題になる中、

「子育て罰」の本を出したところ、

様々な反響があったそうです。


チャイルド・ペナルティ研究の第一人者が

134ヶ国のミクロデータを元に

雇用のおけるチャイルド・ペナルティについて

研究したことについてお聞きしました。


女性の、第一子出産後の雇用の影響を見ると、

日本の落ち込みは際立っています。


また、純負担率

(所得課税+社会保障の負担−社会保障現金給付)

を比べても、日本は、

所得が低い層に負担が重いことがわかります。


日本では、

保育の壁、家庭の壁、職場の壁が

母親を苦しめている、とのこと。


ひとり親のこどもの貧困率は、

下がってきたとはいえ44.5%で、

ふたり親家庭の8.6%の5倍以上です。


ひとり親家庭は、子育てと就労をひとりで担うため

貧困リスクが高くなります。


更に、シングルマザーは、就労収入の男女差、

労働環境やジェンダー差別、家族規範の問題も

追加されます。


貧困問題は、所得の貧困であり、

所得再分配(社会福祉)政策と、

子育て罰とならない労働環境の整備が必要です。


自治体でできることとして、

保育費・教育費・給食費の無償化、

家族手当や住宅手当などによって

貧困リスクを減らすことができる、とのこと。


これまでも、議会で取り上げ求めてきましたが、

これからも、諦めず、ねばり強く

求めて行きたいと思います。



E基礎から国保を学び、「統一国保」の問題点を

大阪から発信する

講師:寺内順子(大阪社保協事務局長)



国保は、戦後、経済成長のために制度化され、

1961年、国民皆保険がスタートしましたが…


実はそれよりも先に、1955年に岩手県が…

福井県でも1959年に国保ができるなど、

都道府県国保が先にスタートしています。


1950年代、日本では農民が一番多く、

農林業業従事者は48.5%でした。


そのため、農民のための医療保障制度として

スタートした、とのこと。


固定資産税に課税する「資産割」があるのも、

田畑に課税するため、とお聞きし驚きました。


また、所得税や住民税には、様々な控除があるけど、

同じ税でも、国保税には控除はなく冷たい制度です。


全国ベースで国保財政を見ると、2021年度では、

6351億円の黒字+基金積立金も1兆4280億円で、

全然、危機ではありません。


現在、各都道府県で保険税の「統一化」にむけ、

進められてますが、

統一化により保険税は高くなります。


高い保険税の国保が、貧困を深刻化しているため、

国保税の引き下げ、減免をすることで、

実質賃金、可処分所得が増えることになります。


いのちとくらしを守るため、

議会での奮闘が求められています。


私も、がんばらなくては!と思いました。


   😃    😃    😃


さてさて…

大阪社保協の社会保障に特化した議員研修は、

2016年から毎年、開催されていて、

私は初回から参加している常連さんです。


コロナ禍は、Zoomでの開催だったので、

リアルでは4年ぶりの参加です。


堺の実家から難波の会場まで

バスや電車を乗り継ぎ、片道1時間超。


しかも、駅の構内や会場まで、けっこうあって、

敦賀では、ドアツードアの生活をしているので、

毎日、7000歩超は大変でしたが、

運動不足解消も兼ねて、がんばって通いました。


また、コロナ前は、議員で会場がいっぱいで、

定員超で、お断りされる方もおられたようですが…

今年は、Zoomも併用で参加できたため、

広い会場には、パラパラの人…


私もZoomでの参加にすれば良かったかな?

とも思いましたが…


リアルだと、終わった後、

講師にいろいろ生で聞けることもあるし、

全国から来られる方との交流もできるし、

何より、大阪の実家から通うことで

親孝行にもなったようなので、

リアル参加して良かったです。



あと…

月曜日の朝、泉ヶ丘駅で、

日本共産党の堺市議会、藤本さちこさんと、

後援会のみなさんが、宣伝行動されていて…


時間があったので、

お話を最後までお聞きし、拍手!


また、その日は、

研修が終わって泉ヶ丘駅に着くと、

再び、日本共産党の藤本市議がプラカードを持ち、

マイクを待って話されてました。


今度は、日本共産党の街宣ではなく、

党派を超えた行動だそうで…


「ガザへの無差別攻撃をやめろ」

「子どもを殺すな 停戦を」と、

10数名のみなさんがプラカードを持ち、

次々とマイクを持ち、訴えておられました。


「ぜひ、5分でも一緒にご参加を」との呼びかけに、

私もプラカード持ってスタンディングしました。


思いがけず、行動に参加できて

本当に有意義な三日間でした。


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写真は、藤本市議と。

posted by きよこ at 23:00| 福井 ☔| 議会、議員活動2016.11〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする